「絵画1」 4月27日
2007年 04月 27日
「なぜデッサンなのか」
大学に入ってから「なぜデッサンをするのか」という話しを学生にします。勿論それは見る目を養うためです。決してうまく描くことを目的としていません。
“よく見ること”は目だけではなかなか出来ないものです。手を動かして、見た形を鉛筆の線に置き換えながら、描かれた線を確認し修正する。
同時に頭を使って描く事が求められます。たとえば、ビンの形。数学的な思考、空間の概念が必要となります。
大人になると、経験から「見た」と勝手に判断する事が多くなってきます。いわゆる「思いこみ」です。そして実際の形とは違う形を平気で描きます。それは脳のなせる仕業です。思いこみで判断した方が都合が良いからです。脳が疲れないからです。経験から脳が勝手に判断するのです。「多分こうなっている」と。
ですから、私たち大人は疑ってかかる事から始めないとなりません。デッサンも同じです。この線で良いのだろうか、正しい線だろうか。
デッサンをするということは、見る目を養うことになるのです。真実を追究しようとする目を鍛えるのです。それは時として社会を見る目にもつながっていくのです。学生時代にそのような見る目を鍛えないと、社会に出て流されてしまう。
こんな話しをしながら授業をしていますが、1年生には分かってもらえるかな〜。
でもみんな真剣に取り組んでいます。先ずは目と手を鍛えましょう。
〈三澤一実〉
中学以来、まったく絵を描いてこなかったので、「見た通り」描くことに苦戦しています。けれど、先生のおっしゃるように「見る目を養う」というのはキーワードだなと思いました。デッサンについての記事、また載せてください。
デッサン入門で勉強しているのですね。美術研究室を訪ねてください。デッサンのしかたなどいくらでもアドバイスしますよ。授業料払って大学にきているのですから、在学中に使える先生はどんどん使っていかないとね。教えを請う姿勢は(学びを求める姿勢)は教員を続ける上で一番大切な心構えかもしれません。そのうち、年齢とともに教えを請われる立場になるのでしょうね。そうして教育は受け継がれていくような気がします。<三澤>